ボーナスの手取りはなぜ少ない?賞与の社会保険料と税金の仕組み
賞与の手取りが額面より少ないのには明確な理由があります。健康保険・厚生年金・雇用保険の社会保険料と、月給とは異なる賞与の所得税の仕組みを分けて解説し、額面に対する手取りの目安も紹介します。
「ボーナスが出た!」と喜んで明細を見たら、額面(支給額)より手取りがずいぶん少なくて驚いた——多くの人が一度は経験する瞬間です。賞与は毎月の給与とは少し違うルールで社会保険料や税金が天引きされます。この記事では、なぜ賞与の手取りが額面より少なくなるのかを、健康保険・厚生年金・雇用保険といった社会保険料と、賞与にかかる所得税(源泉徴収)の仕組みに分けて、できるだけわかりやすく解説します。
賞与から引かれる「4つのもの」
会社員の賞与から天引きされる主なものは、大きく次の4つです。月給と基本的な顔ぶれは同じですが、住民税が引かれないのが大きな違いです。
- 健康保険料(40歳以上は介護保険料を含む)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税(源泉徴収)
ポイントは、住民税は賞与から天引きされないという点です。住民税は前年の所得をもとに計算され、毎月の給与から12分割で引かれる仕組みのため、賞与には上乗せされません。そのぶん「賞与の手取り率」は月給の手取り率より少し高くなる傾向があります。実際の金額を試したいときは賞与手取り計算ツールで額面を入力すると、概算の内訳を確認できます。
社会保険料の仕組み(健康保険・厚生年金・雇用保険)
社会保険料は賞与の手取りが減る最大の要因です。賞与の場合、税込支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に各保険料率を掛けて計算します。会社と従業員で原則折半(雇用保険を除く)するため、明細に出るのは本人負担分だけです。
健康保険料
健康保険料率は加入している健康保険組合や協会けんぽの都道府県支部によって異なり、おおむね標準賞与額の10%前後(労使折半なので本人負担は約5%)が目安です。さらに40歳から64歳の人は介護保険料(全国一律のおおよその率)が上乗せされます。健康保険には年度の上限(標準賞与額の累計573万円まで)があります。
厚生年金保険料
厚生年金の保険料率は18.3%で固定されており、労使折半で本人負担は9.15%です。ここが賞与の天引きで最も大きな割合を占めることが多い部分です。厚生年金には1回の賞与あたり標準賞与額150万円という上限があります。
雇用保険料
雇用保険料は標準賞与額ではなく、賞与の支給額そのものに料率を掛けて計算します。本人負担は業種によって異なりますが、一般の事業ではおおよそ0.5〜0.6%程度です。金額としては健康保険・厚生年金に比べると小さめです。
ざっくりした目安として、社会保険料の本人負担は合計で賞与額面のおよそ15%前後になることが多いです(年齢・地域・健保組合により変動)。
賞与にかかる所得税(源泉徴収)の仕組み
賞与の所得税は、月給とは別の方法で計算されます。ここがわかりにくく、「先月と同じくらいの賞与なのに税額が違う」と感じる原因にもなります。
- 前月の給与から社会保険料を引いた金額を確認する
- 扶養親族の人数と合わせて「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめ、税率(賞与の率)を求める
- 賞与から社会保険料を引いた金額に、その税率を掛けて所得税額を算出する
つまり賞与の所得税率は、前月の給与水準と扶養人数で決まるのがポイントです。前月にたまたま残業代が多かった、扶養が外れた、といった事情で税率の区分が上がると、賞与の天引きが増えることがあります。
ただし、この源泉徴収はあくまで仮の前払いです。1年間の所得が確定する年末調整(または確定申告)で、所得税は正しい年税額に精算されます。賞与で多めに引かれていれば、年末調整で還付されることもあります。賞与単体ではなく1年トータルの手取りを把握したいときは、手取り計算ツールで年収ベースの試算をしてみると全体像がつかめます。
額面と手取りの目安
あくまで一般的な目安ですが、賞与の手取りは額面のおおよそ75〜85%になるケースが多いです。社会保険料が約15%、所得税が数%引かれるイメージです。年齢(介護保険の有無)、扶養人数、前月給与、健保組合の料率によって上下します。
| 賞与額面 | 手取りの目安(約80%) |
|---|---|
| 20万円 | 約16万円 |
| 50万円 | 約40万円 |
| 100万円 | 約80万円 |
正確な金額は条件次第で変わるため、上の表は「だいたいこのくらい」という感覚をつかむためのものと考えてください。自分の条件で計算したい場合は賞与手取り計算ツールに額面・年齢・扶養人数などを入力すると、社会保険料と所得税を分けた概算結果が得られます。
手取りを正しく理解するためのポイント
- 住民税は賞与から引かれないため、賞与の手取り率は月給より高くなりやすい。
- 厚生年金(本人9.15%)と健康保険が天引きの大半を占める。
- 賞与の所得税は前月給与と扶養人数で税率が決まる、月給とは別ルール。
- 源泉徴収は前払いで、最終的には年末調整・確定申告で精算される。
- 社会保険料は将来の年金や医療給付の原資でもあり、単なる「損」ではない。
ご注意:本記事は社会保険料・税金の一般的な仕組みを解説したもので、保険料率や算出方法は年度・地域・加入する健康保険組合などにより変わります。掲載の数値や計算結果はあくまで概算の目安です。正確な金額や個別の判断については、勤務先の給与担当部署、お住まいの自治体、日本年金機構・全国健康保険協会・国税庁などの公式情報、または税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
よくある質問
ボーナスの手取りはだいたい額面の何割ですか?
一般的には額面のおよそ75〜85%が手取りの目安です。社会保険料が約15%、所得税が数%引かれるイメージで、年齢・扶養人数・前月給与・健保組合の料率によって上下します。
なぜ賞与には住民税がかからないのですか?
住民税は前年の所得をもとに計算され、毎月の給与から12分割で天引きされる仕組みのためです。賞与には上乗せされないので、賞与の手取り率は月給より高くなる傾向があります。
賞与の所得税はどうやって決まりますか?
前月の給与(社会保険料控除後)と扶養親族の人数から「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で税率を求め、賞与から社会保険料を引いた額に掛けて計算します。月給とは別ルールです。
賞与から引かれた所得税は戻ってくることがありますか?
賞与の源泉徴収は仮の前払いです。1年間の所得が確定する年末調整や確定申告で精算され、多めに引かれていた場合は還付されることがあります。
厚生年金の保険料率はいくらですか?
厚生年金の保険料率は18.3%で固定され、会社と折半するため本人負担は9.15%です。賞与の天引きの中でも大きな割合を占めます。