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減価償却とは|定額法と定率法の違い・耐用年数・少額特例をやさしく解説

高額な備品やパソコンを買ったとき、その代金を「買った年の経費」として一度に落とせないことがあります。これが減価償却です。本記事では、減価償却とは何かという考え方から、定額法と定率法の違い、取得価額・耐用年数・残存価額といった用語、少額減価償却資産の特例、個人事業主の確定申告での扱いまでをやさしく解説します。

公開: 2026-10-16

事業のために30万円のパソコンや100万円の設備を買ったとき、その代金をすべて「買った年の経費」にできるとは限りません。金額が大きく、長く使う資産については、購入額を数年に分けて少しずつ費用にしていく必要があります。この会計上の手続きが減価償却(げんかしょうきゃく)です。本記事では、減価償却とは何かという基本の考え方から、計算方法、個人事業主の確定申告での扱いまでを順を追って解説します。

減価償却とは何か

減価償却とは、建物・機械・車両・パソコンなど、長期間にわたって使う高額な資産(固定資産)の取得にかかった金額を、購入した年に一括で経費にするのではなく、使用できる期間にわたって少しずつ費用として配分していく会計上の手続きのことです。

なぜこのような扱いをするのでしょうか。たとえば100万円の機械を買い、それを5年間使って売上を生み出すとします。この機械の代金は「買った年だけ」のためのものではなく、5年間の事業活動に貢献します。そこで、代金を5年間に按分して、毎年少しずつ経費に計上する方が、各年の利益を実態に即して表せます。これを費用収益対応の原則と呼びます。

資産は時間の経過や使用によって価値が減っていきます。減価償却は、その「価値の減少分」を毎年の費用として認識する仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。なお、土地のように時間が経っても価値が減らない資産は、減価償却の対象になりません。

実際に手元の資産がいくら償却できるのかを試算したいときは、減価償却計算ツールに取得価額と耐用年数を入力すると、年ごとの償却額の目安をすぐに確認できます。

取得価額・耐用年数・残存価額

減価償却を理解するには、まず3つの基本用語を押さえておく必要があります。

  • 取得価額:資産を手に入れるためにかかった金額です。本体価格だけでなく、引取運賃・設置費用・据付費など、その資産を使える状態にするまでに要した費用も含めます。
  • 耐用年数:その資産を使用できると見込まれる期間です。実際の寿命ではなく、資産の種類ごとに国が定めた「法定耐用年数」を使います。たとえばパソコンは4年、軽自動車は4年、木造の事務所は24年などと決められています。
  • 残存価額:耐用年数を使い切った後に残ると見込まれる価値です。かつては取得価額の10%とされていましたが、現在の制度では原則として残存価額をゼロ(備忘記録として帳簿に1円だけ残す)として計算します。

耐用年数は自分で勝手に決められない点が重要です。「すぐ壊れそうだから2年で償却したい」と思っても、法定耐用年数に従う必要があります。どの資産が何年かは国税庁の耐用年数表で確認できます。

定額法と定率法の違い

減価償却の計算方法には、主に定額法と定率法の2つがあります。どちらも耐用年数の合計で見れば償却する総額は同じですが、「各年にいくら配分するか」のペースが異なります。

方法毎年の償却額特徴
定額法毎年ほぼ同額計算がシンプル。利益の見通しを立てやすい
定率法初年度ほど多く、年々減る早期に多く費用化できる

定額法は、取得価額に毎年同じ割合(償却率)を掛けて、耐用年数の間ずっと同じ金額を償却していく方法です。たとえば取得価額120万円・耐用年数6年なら、毎年20万円ずつ均等に費用化します。計算が分かりやすく、各年の負担が一定なので見通しを立てやすいのが利点です。

定率法は、まだ償却していない残り(未償却残高)に毎年一定の率を掛ける方法です。最初の年の償却額がもっとも大きく、年を追うごとに減っていきます。早い段階で多くを費用にできるため、購入直後の利益を抑えたい場合に向きます。

個人事業主の場合、原則は定額法とされており、定率法を選びたいときは事前に税務署へ届出が必要です(建物など一部は定額法に限定されています)。どちらの方法でも総額は変わりませんが、各年の利益や納税額のタイミングに影響するため、自分の事業に合うペースを選ぶことが大切です。減価償却計算ツールで定額法と定率法それぞれの年次推移を比較してみると、両者の違いが直感的に分かります。

少額減価償却資産の特例

金額が小さい資産まですべて何年もかけて償却するのは手間がかかります。そこで、一定額以下の資産については、早く経費にできる例外的な扱いが用意されています。

  • 10万円未満:原則として減価償却せず、買った年に全額を経費(消耗品費など)にできます。
  • 10万円以上20万円未満:「一括償却資産」として、耐用年数にかかわらず3年で均等に償却することができます。
  • 30万円未満:青色申告をしている中小事業者なら、少額減価償却資産の特例により、1点あたり30万円未満の資産を購入した年度に全額経費にできます(年間合計300万円まで)。

とくに3つ目の少額減価償却資産の特例は、個人事業主やフリーランスにとって使い勝手のよい制度です。たとえば25万円のパソコンを買った場合、本来は数年かけて償却するところを、青色申告事業者ならその年に25万円全額を経費にできます。利益が出ている年の節税に役立ちますが、これは時限的な措置であり、適用には青色申告であることや金額の上限などの条件があります。利用前に最新の要件を必ず確認してください。

個人事業主の確定申告での扱い

個人事業主は、減価償却費を必要経費として確定申告に計上します。実務では、確定申告書に添付する「減価償却費の計算」欄(青色申告決算書や収支内訳書の中にある表)に、資産ごとの取得価額・取得年月・耐用年数・償却方法・本年分の償却費などを記入していきます。

ここで間違えやすいのが、年の途中で資産を買った場合の月割計算です。たとえば10月に購入した資産は、その年は1月から使っていたわけではないので、1年分ではなく使った月数(10〜12月の3か月分)だけを償却します。また、事業とプライベートの両方で使う資産(自宅兼事務所の建物や、私用も兼ねる車など)は、事業で使う割合(事業割合・按分)に応じた分だけが経費になります。

減価償却費は実際の現金支出を伴わずに計上できる経費であり、所得を圧縮して税額に影響します。所得や税金の全体像を試算したいときは、フリーランス税金計算ツールに売上や経費を入力して、おおよその所得税・住民税の目安を確認しておくとよいでしょう。減価償却費を経費に含めた場合の手取りイメージもつかみやすくなります。

なお、減価償却の処理は資産の種類や取得時期によって細かなルールが分かれます。判断に迷う場合は、フリーランス税金計算ツールなどで全体感をつかんだうえで、具体的な申告内容は税理士や税務署に確認するのが確実です。

まとめと注意点

減価償却は、長く使う高額な固定資産の代金を、耐用年数にわたって少しずつ費用に配分していく仕組みです。要点を整理すると次のとおりです。

  • 高額で長期間使う資産は、買った年に一括で経費にできず、耐用年数で配分する。
  • 計算には取得価額・法定耐用年数・残存価額(原則ゼロ)を使う。
  • 定額法は毎年同額、定率法は初年度ほど多く償却する。個人事業主の原則は定額法。
  • 10万円・20万円・30万円といった金額の区切りで、早く経費にできる特例がある。

まずは減価償却計算ツールで手元の資産の償却額を試算し、フリーランス税金計算ツールで全体の税額への影響を確認してみてください。数字を実際に動かしてみることが、制度を理解する近道です。

なお本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。耐用年数や特例の要件、適用期限などの制度は改正されることがあります。実際の申告にあたっては、最新の国税庁の公式情報を確認し、必要に応じて税理士など専門家にご相談ください。

よくある質問

減価償却とは何ですか?

減価償却とは、建物・機械・車両・パソコンなど長期間使う高額な固定資産の取得額を、購入した年に一括で経費にするのではなく、使用できる期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用として配分していく会計上の手続きです。資産の価値の減少分を毎年の費用として認識する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

定額法と定率法はどちらを選べばよいですか?

耐用年数の合計で見れば償却する総額はどちらも同じですが、各年の配分ペースが異なります。定額法は毎年同額で見通しを立てやすく、定率法は初年度ほど多く費用化できます。個人事業主の原則は定額法で、定率法を選ぶには事前の届出が必要です。利益の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。

30万円未満の資産はすぐに経費にできますか?

青色申告をしている中小事業者であれば、少額減価償却資産の特例により、1点あたり30万円未満の資産を購入した年に全額経費にできます(年間合計300万円まで)。ただしこれは時限的な措置で、青色申告であることなどの条件があるため、利用前に最新の要件を確認してください。

耐用年数は自分で決められますか?

自由には決められません。減価償却では、資産の種類ごとに国が定めた「法定耐用年数」を使います。たとえばパソコンは4年などと決まっており、国税庁の耐用年数表で確認できます。実際にいつまで使うかという見込みではなく、この法定の年数で計算します。

減価償却の計算ツールに入力した金額はサーバーに送信されますか?

WAZA TOOLSの減価償却計算ツールやフリーランス税金計算ツールは、すべてブラウザ内で計算が完結します。入力した取得価額や売上などの金額がサーバーに送信・保存されることはありません。スマートフォンでも利用でき、何度でも無料で試算できます。